磁気浮上装置


磁気浮上装置キットの組立奮闘記

磁気浮上装置キットの組立



 磁気浮上装置を作ろうと思い、原理が分からないので、AliExpressでキットを購入し組み立ててみる ことにしました。
AliExpressのLUSYA magnetic levitation DIY-H4-001 $29.54 を購入し40数日で届きました。
 梱包の中身を見て驚きました。入っていたのは、プリント基板2枚、部品、電源のみで、 説明書、組立図、回路図等は入っていませんでした。
中国製の物なのでこんなものなのかなと変に納得しましたが、幸い、プリント基板には、部品名と値等が プリントされていたのがせめての救いでした。
 それからが大変で、忘備録として以下に製作の過程をまとめてみました。



  プリント基板から回路図を起こす


 プリント基板は両面基盤となっていましたので、回路図ソフトBSch3V を使って、部品配置図を作り、 その部品配置図に表面のプリント配線を実線で書き込み、その図をミラー操作してひっくり返して 裏面の配線図を破線で書き込みました。
 以下がその部品配置図です。

*基盤A


*基盤B

この部品配置図から回路図を作成しました。

*基盤A回路図

*基盤B回路図




  回路図から理解できたこと


(1)基盤A回路図から
 ①回路図中央上部の回路が下図のようになっています。

 電源+12Vを入れると、+5V定電圧素子78LO5からホールセンサーH3(3503)へ電圧が 供給されます。
 このままの状態では、ホールセンサーH3の出力はありませんので、パワートランジスタ Q5はOFFのままで他の回路に電圧は供給されません。
 フロート磁石が、ホールセンサーH3の上部に来るとセンサーから出力があり、コンパレータ LM393が働きパワートランジスタQ5がONになって他の回路に電圧が供給されます。
 つまり、電源+12Vを入れても他の回路に電圧は供給されず、フロート磁石が装置の上に 来た時に初めて他の回路に電圧が供給されるようになっています。その時青色のLEDが点灯します。

 ②パワートランジスタQ5のコレクタから、電磁コイル駆動用のパワートランジスタと オペアンプ用電源が供給されています。
 それにコネクタJP2にある+電源として、R18(180Ω)を通してシャントレギュレータTL431の 定電圧回路+5Vに供給されています。


(2)基盤B回路図から
 ①基盤の周りに接続する8個のLEDは梱包されていませんでしたので、使いませんでした。
別途購入して使用する場合にはジャンパーピンJP3の1と2を接続します。

 ②L型ジャンパーピンJP5とJP6は接続ピンで接続することを忘れえないようにします。 そうでないとコイルに接続されません。




  基板Aの組み立て


(1)抵抗
 抵抗値が5線表示なので注意が必要です。下図が抵抗を半田付けした図です。

(2)電解コンデンサ、定電圧素子78L05、シャントレギュレータTL431、ダイオード4148、 OPアンプLM324の向きに注意します。

(3)電源用LEDは図の赤丸の部分ですが、直方体の形のものが梱包されていました。足の長い方が+です。




 完成後、フロート磁石を装置の上に持ってくると電源が入り青色に点灯します。


(4)パワートランジスタB772、D882は足を90度に折り曲げて、プリント面に印刷されたとおりにB772、 D882を取付、半田付けします。

(5)ピンソケットを4か所半田付けします。

(6)多回転半固定ボリュームも足を90度に折り曲げて半田付けします。

(7)基板Aの部品配置の完成図です。




  基板Bの組み立て


(1)ホール素子3個の高さ確認のため、Cの位置に電磁コイルを裏側からネジで固定します。



(2)固定後、コイルの中央から出ているエナメル線をC1へ、コイルの外側から出ている エナメル線をC2へ半田付けします。(基板に印刷されている赤丸の所の白いラインを確認)




(3)ホール素子1個を図のように、3本の足を記号表記側の反対側に90度折り曲げます。




(4)足を90度折り曲げたホール素子を図のように記号表記面が電磁コイルの高さと同じに なるようにH3の位置に半田付けします。

(5)残り2つのホール素子を、記号表記面の中央が電磁コイルの高さの中央になるように 高さを調整しH1、H2の位置に記号表記面が内側になるように半田付けします。


(6)残りの3つの電磁コイルを上記と同様に固定しエナメル線を半田付けします。



(7)磁石を図のようにネジで固定します。8か所あります。



(8)ピンヘッダ5ピン1か所(JP1)、4ピン1か所(JP2)、3ピン1か所(JP3)、2ピン 2か所(JP4,JP5)、L型2ピン2か所(JP6,JP7)、を半田付けします。
 その際、ピンヘッダJP1、JP2、JP4、JP5 は、基板Aのピンソケットに挿入しますので、 裏側から取り付けて半田付けします。
 傾けて半田付けしないように注意してください。

(9)ピンヘッダJP3は、8個のLEDを使用するときに使います。



(10)L型2ピン2か所(JP6,JP7)に図の赤丸のように接続ピンを差し込んでおきます。

これで基板Bの完成です。




  調整


 フロート磁石の動きが固定するように、多回転半固定ボリュームRP1、RP2を調整します。 その際、フロート磁石が装置の上に来ないと電源が入りません。
 それだと面倒なので、フロート磁石が無くてもホール素子H1とH2に電源+5Vが行くように、 JP1からJP2に+5Vを供給して調整します。

(1)そのため調整用のリード線を次のように取り付けます。
 ①基板Aの裏側で、JP1から+5VとGNDにリード線を半田付けし、リード線の反対側にコネクタ用 ハウジングを接続します。



コネクタ用ハウジング1



 ②同様に、基板Aの裏側で、JP2から+端子と-端子 にリード線を半田付けし、リード線の反対側に コネクタ用ハウジングを接続します。



コネクタ用ハウジング2



 ③基板Bの表側で、JP2からH1と-端子とH2 にリード線を半田付けし、リード線の反対側に コネクタ用ハウジングを接続します。



コネクタ用ハウジング3




 ④基板Aの裏側で、2か所の多回転半固定ボリュームの真ん中の端子にリード線を半田付けし、 リード線の反対側にコネクタ用ハウジングを接続します。



コネクタ用ハウジング4(2か所用)



 ⑤半田付けされたリード線は半田付け箇所に、折れて切断しないようにグルーガンで 固めておきます。


(2)調整用のリード線の準備ができましたら、基板BのピンヘッダJP1、JP2、JP4、JP5を基板Aの ソケットに差し込み次のように調整します。
 ①コネクタ用ハウジング1とコネクタ用ハウジング2をブレッドボード用のジャンパーピン (オス―オス)で接続します。赤線と赤線を接続し、黒線と黒線を接続します。

 ②電源プラグを接続します。

 ③コネクタ用ハウジング3から、ホール素子H1とH2のオフセット電圧(磁石が近くにない 場合の出力電圧)を測定し記録します。
  だいたい2.5Vぐらいです。

 ④コネクタ用ハウジング4を使って、多回転半固定ボリュームPR1の電圧がホール素子H1の オフセット電圧と同じになるようにつまみを回転して調整します。

 ⑤同様に、コネクタ用ハウジング4を使って、多回転半固定ボリュームPR2の電圧がホール素子H2の オフセット電圧と同じになるようにつまみを回転して調整します。

 ⑥調整が終了したら、コネクタ用ハウジングに接続したジャンパーピン等は全て外します。

 これで調整が完了です。




  フロート磁石を浮かせる。


 フロート磁石を両手で持って、装置の上に持っていくと電源用のLEDが点灯し、フロート磁石が 前後左右に振られるようになると思いますが、止まる点を探して、そっと両手を離してください。
 以下の図のようにフロート磁石がとどまります。感激ですね!!

調整が必要な場合は、再度調整してください。





  ケースを作成


 以下のような磁気浮上装置を入れるケースを作成しました。8個のパワートランジスタが熱を発するので ケースにファンを取り付けています。



フロート磁石にいろいろなものを乗せてみました。地球儀を乗せようとしましたが重すぎてダメでした。